【非エンジニア向け・実例つき】マーケットスピードⅡ RSSで全銘柄の気配をリアルタイムにExcelへ取り込む(読み取り専用ログ化の作り方)

マーケットスピードⅡ RSSで全銘柄の気配をリアルタイムにExcelへ取り込む マーケットスピードⅡ RSS

MS2 RSSを使えば、Excelの関数だけで株価や板気配をリアルタイムに取れます。今回はそれを一歩進めて「全銘柄を数秒おきに読み取り、ログとして残す」考え方を、発注しない読み取り専用の前提で丁寧に解説します。

⚠️ この記事は2026年7月時点の情報です。マーケットスピードⅡ RSSやExcelの仕様やサービスは変わる場合があるため、最新かつ正確な情報は各公式ドキュメント・公式サイトもご確認ください。あわせてマーケットスピードⅡ RSSの使い方・初期設定もどうぞ。

「マーケットスピードⅡ RSS(MS2 RSS)でとりあえず1銘柄の株価はExcelに出せた。でも、これを全銘柄ぶんまとめて、しかも時間ごとに記録として残せないかな?」——そう思ったことはありませんか。前回までの記事(MS2 RSSの使い方・接続チェックリスト)で「1つのセルに株価を表示する」ところまでは進めました。今回はその続編として、もう一歩実務的な「全銘柄の気配(けはい)をリアルタイムに取り込んで、ログ(記録)として残す」という考え方を、コードが書けない会社員の目線で解説します。

この記事を読むと、次のことがイメージできるようになります。

  • Excelの関数だけで、株価・出来高・板気配(いたけはい)をリアルタイムに取る仕組みの考え方
  • 1銘柄ではなく「たくさんの銘柄」を一気に読み取るための組み立て方
  • 読み取った数字を「ログファイル」として時系列で残す発想(Excelだけ/Pythonを足す場合の両方)
  • そして最も大切な、「これは読み取り専用(read-only)で、発注(売買)は絶対にしない」という安全の線引き

先に結論を言っておきます。ここで作るのは「見て・記録するだけの道具」です。ボタンを押したら注文が飛ぶ、という機能は一切作りません。安心して読み進めてください。

まず大前提:これは「観測カメラ」であって「発注ボタン」ではない

1MS2を起動してログイン配達員を出勤させる2Excelで関数を書くRssMarketで株価を取得3全銘柄に縦コピー1行作って下へコピー4時刻つきでログ化あとで振り返るため記録
図:MS2 RSSで全銘柄を取り込む流れ

一番はじめに、この記事で作るものの正体をはっきりさせます。イメージとしては、駐車場に付いている定点観測カメラです。カメラは車を動かしません。ただ「今の様子」を映して、録画(ログ)として残すだけです。今回作るのも、まさにそれの株式版です。

MS2 RSSには、Excelから注文を出すための機能(発注系の関数)も存在します。しかし、今回の目的ではそれらは一切使いません。使うのは、価格や気配を「読み取る」ための関数だけです。ここを混同しないことが、安全に楽しむための最重要ポイントです。

やること(今回の範囲)やらないこと(今回は触れない)
株価・出来高・板気配を読み取る買い注文・売り注文を出す
読み取った数字をログに残す注文の訂正・取消をする
後から市場の様子を振り返る自動で売買判断を実行する

気配(quote)とは、ざっくり言うと「今いくらで買いたい人・売りたい人がどれくらい並んでいるか」の情報です。板気配(order book)はその一覧表のようなものだと思ってください。株価そのもの(現在値)だけでなく、この「並び方」まで見えるのがMS2 RSSの面白いところです。

Excel連携の考え方:関数を書くと、数字が勝手に更新される

MS2 RSSの仕組みを、たとえ話で説明します。ふつうのExcelの関数(例:=SUM(...))は、あなたが入力した数字を計算するだけです。一方でMS2 RSSの関数(RssMarket など)は、「楽天証券のマーケットスピードⅡという配達員(はいたついん)に、最新の株価を取ってきてもらう」お願いのメモのようなものです。

大事なのは、この配達員が頼まなくても勝手に何度も往復してくれる点です。市場が動くたびに、配達員が新しい数字を持ってきて、セルの中身が自動で書き換わります。あなたは最初に「この銘柄のこの項目を取ってきて」と1回頼むだけ。あとは放っておいても数字が生き物のように更新され続けます。これが「リアルタイム」の正体です。

組み立ての流れは、次の3ステップで考えると分かりやすいです。

  1. MS2を起動してログインしておく(配達員を出勤させる。※ログイン情報はここには書きません。各自の証券会社の手順に従ってください)
  2. ExcelでRSSが使える状態にする(アドインという「追加部品」を有効にして、Excelと配達員をつなぐ)
  3. セルに関数を書く(「この銘柄のこの項目を持ってきて」と頼むメモを書く)

1銘柄・1項目なら、これで完成です。たとえば「A1のセルに銘柄コードを入れ、B1に現在値を取る関数を書く」——たったこれだけで、B1の数字がずっと動き続けます。ここまでは前回の記事の範囲ですね。問題は「これを全銘柄でやるには?」です。

全銘柄に広げるコツ:関数を「縦にコピーする」だけ

1A列に銘柄コードを並べる1行1銘柄で縦に2B列に関数を書く同じ行のA列を見る3下へコピー全銘柄に一気に展開
図:全銘柄に広げる仕組み

「全銘柄」と聞くと身構えてしまいますが、やることは驚くほど単純です。1行ぶんの関数を作って、それを下にコピーしていくだけです。表計算ソフトの一番得意な作業ですね。

考え方はこうです。

  • A列に、記録したい銘柄コードを縦にずらっと並べる(1行1銘柄)
  • B列以降に、「A列の銘柄について、現在値・出来高・買い気配・売り気配を取ってきて」という関数を書く
  • その1行を、銘柄の数だけ下方向にコピーする

ポイントは、関数の中で銘柄コードを直接書き込まず、「同じ行のA列を見てね」という書き方(セル参照)にしておくことです。こうしておけば、下にコピーしたときに各行が自分の行のA列を見てくれるので、1行作れば残りは全部コピーで済みます。銘柄コードの一覧は、証券会社や取引所が公開している銘柄リストから用意できます。

数を増やすときの現実的な注意

ここで正直にお伝えします。数千銘柄ぶんの関数を一度に動かすと、パソコンや通信に相応の負荷(ふか)がかかります。配達員が一度に何千往復もするわけですから、当然です。ですので、いきなり全部を狙わず、次のように段階的(だんかいてき)に進めるのがおすすめです。

段階やること確認するポイント
第1段階10〜50銘柄で試す数字が正しく更新されるか
第2段階数百銘柄に増やす動作が重くなりすぎないか
第3段階さらに広げる更新の遅れ・止まりがないか

「一気に完成させよう」とせず、「少しずつ広げて、その都度ちゃんと動くか見る」。これは非エンジニアがシステムを安全に育てるときの鉄則です。うまくいかなければ、いつでも銘柄数を減らして元に戻せます。

「今」を「記録」に変える:ログ化という発想

ここまでで、Excelの画面には「今この瞬間」の数字がリアルタイムに映るようになりました。でも、リアルタイムの数字には弱点があります。次の瞬間には上書きされて、前の値が消えてしまうのです。定点カメラで言えば「映してはいるけど録画していない」状態です。あとから「10時5分の様子はどうだった?」と振り返れません。

そこで登場するのがログ化(logging=記録に残すこと)です。やりたいのは「数秒おきに、今のExcelの数字をまるごとコピーして、時刻つきで別のファイルに書き足していく」ことです。こうすれば、あとで時系列(じけいれつ)で振り返れます。

方法A:Excelの機能だけで残す

手軽なのは、Excel自身に定期的な保存や追記をさせる方法です。たとえば、一定時間ごとに「今のシートの内容を別のシートやCSVファイル(カンマ区切りの表データ)にコピーする」動きを組みます。プログラムを外に用意しなくてよいのが利点ですが、Excelを開きっぱなしにしておく必要があり、長時間・大量になると少し不安定になりがちです。

方法B:Pythonなどで外から記録する

もう少し本格的にやるなら、Excelの外に「記録係」の小さなプログラムを用意する発想です。イメージは「秘書がExcelの画面を数秒おきにのぞきに来て、その時刻の数字をノート(ログファイル)に書き写していく」感じです。Pythonという言語には、Excelとやり取りする便利な道具(ライブラリ=部品集)があり、こうした「のぞいて書き写す」係を作れます。

方法Bの良いところは、役割がきれいに分かれることです。Excelは「MS2から数字を受け取って表示する」係、Pythonは「その表示を時刻つきで記録する」係。片方が転んでも、もう片方に注文を出させるような設計にはなっていないので、安全な線引きを保ったまま記録を積み上げられます。ここでも繰り返しますが、記録係がやるのは読み取って書き写すだけで、売買には一切関わりません。

私自身の作業記録でも、この「全銘柄をリアルタイムに読んでログに残す係」は、あくまで発注機能から完全に切り離した観測ツールとして作っています。市場が開いている時間帯には、そもそも記録係を新しく起動しない(動作中のものに触らない)といった運用ルールを決めておくと、より安心です。

市場が開いている時間帯の注意点

リアルタイムのデータを扱う以上、市場が開いている時間帯(ザラ場)ならではの注意があります。難しい話ではなく、「動いているものを不用意にいじらない」という常識的なことばかりです。

  • 取引時間中に設定を大きく変えない:数千銘柄を読み取っている最中に関数や銘柄リストを大幅に書き換えると、更新が乱れたり重くなったりします。増減や修正は、できれば取引時間の外で行うのが安全です。
  • 「発注系の関数」を誤って混ぜない:読み取り用のシートに、うっかり注文系の関数をコピーしてこないよう、ファイルを分けておくと安心です。観測用ファイルには読み取り関数しか置かない、と決めてしまいましょう。
  • 負荷を見ながら広げる:市場が活発な時間帯は更新も激しくなります。銘柄数は少なめから始め、パソコンや通信が余裕をもって処理できているか確認しながら増やします。
  • 記録の目的は「あとで振り返るため」:ログはその場で判断を自動化するためのものではありません。落ち着いて後から市場の様子を見直す、そのための素材だと位置づけておきます。

この4つを守るだけで、「観測カメラ」としての安全な使い方から外れずに済みます。

まとめ:次の一歩

今回は、MS2 RSSで全銘柄の気配をリアルタイムに取り込み、ログとして残すという考え方を、読み取り専用・発注しないという前提のもとで解説しました。要点を振り返ります。

  • MS2 RSSの関数は「勝手に往復してくれる配達員」。1回頼めば数字が生き物のように更新される。
  • 全銘柄化のコツは「1行の関数を作って下にコピーするだけ」。難しさより、段階的に広げる慎重さが大事。
  • リアルタイムの数字は上書きで消える。だから「時刻つきで書き足すログ化」で記録に残す。
  • Excelだけでも記録できるが、Pythonで「記録係」を外に置くと役割が分かれて扱いやすい。
  • これは観測カメラ。発注(売買)は絶対にしない、という線を最初から最後まで守る。

最初の一歩としておすすめするのは、「10銘柄だけで、現在値を数秒おきに1つのCSVに書き足してみる」ことです。たった10行のログでも、あとから開くと「あの時間、数字はこう動いていたのか」と分かって、ぐっと面白くなります。そこから少しずつ銘柄を増やし、項目を増やしていけば、いつのまにか「全銘柄の観測ログ」が手元に育っていきます。

次回は、この貯めたログを実際に見返して「どう眺めると役に立つのか」——記録を活かす側の話に進めればと思います。コードが書けなくても、道具は一歩ずつ確実に組み上がります。あなたの観測ラボ、今日はここから始めてみてください。


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免責事項

本記事は執筆時点(2026年7月)の情報に基づいています。マーケットスピードⅡ RSS・Excel・各種ツールの仕様は予告なく変更される場合があります。最新かつ正確な情報は各公式ドキュメント・公式サイトをご確認ください。本記事の内容を用いて生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねます。

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