この記事は、プログラミングの実務経験がない私(IT職ではない、普通の会社員です)が、AIツール「Claude Code」を使って株の自動売買システムを作っていった記録です。技術解説ではなく、非エンジニアがAIに開発を任せると実際に何が起きるのかを、成功も失敗も含めて正直に書きます。
結論:何ができて、何ができていないか
先に結論から書きます。読者をぬか喜びさせたくないので、できたことと「できていないこと」を最初に並べます。
できたこと
- Claude Codeに指示するだけで、Pythonというプログラミング言語で書かれた合計15万行規模のシステムが組み上がった(中心となる実行プログラム1ファイルだけで約3万行あります)
- 証券会社のツール「マーケットスピード2」とExcelを連携させ、株価をリアルタイムで受信して売買の判断をする仕組みが動いている
- 「迷ったら取引しない」という安全装置を何重にも組み込んだ
まだできていないこと(ここが大事です)
- このシステムは、今もまだ本格稼働させていません。後述しますが、私が決めた「本番稼働を再開してよい10個の条件」のうち、直近で達成できているのは1個だけ。残り9個が未達なので、システム自身の判断で稼働がブロックされたままです
- 私はコードの中身を、ほとんど読めません。AIに任せきりだからです
つまりこの記事は「AIで荒稼ぎした成功談」ではありません。「素人がAIと一緒に、お金が関わるシステムを慎重に作るとこうなる」という記録です。むしろ「まだ動かしていない」ことこそ、私がいちばん伝えたいことかもしれません。

▲ 実際の画面です。Excelの上にマーケットスピードIIのタブが乗り、左上に「接続中」と出ています。各銘柄の「席(スロット)」はまだ全部EMPTY=空き。これから動かす状態のダッシュボードです。(金額部分はマスクしています)
書いている人のスペック:コードはまったく書けません
信頼してもらうために、逆に「私がいかに専門家でないか」を明かします。
- プログラミングの実務経験:ゼロ。 業務でコードを書いたことは一度もありません
- 本業は、IT・エンジニアリングとはまったく関係のない仕事です
- 株式投資を始めたのは2026年2月。投資歴も浅いです
- お金や投資の専門家でもありません
この経歴の人間が作ったという事実が、この記事の価値だと思っています。「専門家だからできた」話には再現性がありません。「専門家じゃなくてもここまでは行けた、でもここで止まっている」という生の情報のほうが、これから挑戦する人の役に立つはずです。
開発タイムライン:3ヶ月で何が起きたか
2026年3月:とにかく作っては壊した
開発を始めたのは3月頃です。最初は「step1」「step2」とファイルに番号を振りながら、少しずつ作り直していく進め方でした。記録を見返すと、わずか1週間ほどでstep1からstep22まで番号が進んでいます。当時は勢いだけで、ひたすらAIに「次はこうして」と頼んでいた記憶があります(正直、細かい内容はもう覚えていません)。
2026年4月:「step23」が今の本体になり、実際にお金を入れた
4月に入って、今の本体である「step23」系列が立ち上がります。寄り付き前に銘柄を絞り込むプログラムや、AIに参考意見を出させる仕組みの構想もこの頃に始まりました。そして4月に、初めて実際の資金を入れて動かしました。ここから「お金が本当に動く」という緊張感が一気に増します。
2026年5月末〜現在:安全装置を作り込む日々
5月後半からは、開発の質が変わりました。それまでの「作っては壊す」から、「壊れないようにする」「事故を防ぐ」フェーズに入ったのです。git(コードの変更履歴を管理する仕組み)を導入し、売買ロジックそのものよりも、安全装置の追加に時間を割くようになりました。今もこの「ロジック改変中」のフェーズが続いています。
ここで強調したいのは、面白い機能を足す時間より、安全装置を作る時間のほうが圧倒的に長いということです。お金が関わるシステムでは、これは避けて通れませんでした。
失敗の記録:AIに任せきりだと、失敗すら自分で気づけない
ここがこの記事の核心です。正直に告白すると、私は自分がどんな失敗をしたか、リアルタイムではほとんど把握していませんでした。コードを読めないからです。
ではなぜ今こうして失敗を語れるのか。すべてログ(記録)に残っていたからです。後からAIにフォルダ全体を調べさせて、初めて「こんな危ない橋を渡っていたのか」と知りました。これも非エンジニアならではの体験だと思うので、見つかった失敗を共有します。
失敗①:取引中にコードを直したら、システムに「お前を止める」と言われた
これは衝撃的でした。ある日、取引時間中に判定部分のプログラムを修正したところ、システムが「実行中にコードが書き換わった」ことを自動で検知し、新規の売買を全部ブロックしたのです。
人間が暴走するより先に、システムが人間(=私)の危険な操作を止めた瞬間でした。この一件以降、「取引時間中はコードに触らない」がこのプロジェクトの最優先ルールになりました。安全装置が作者を守ってくれた、という話です。
失敗②:1日で3つの穴が同時に見つかった
実際に動かした後の検証で、1日に3つの問題が発覚したことがあります。平易に言うと、
- 本来買うべき株数より少ない注文が、止められずに発注されてしまった
- 「この銘柄は買うな」と選定担当のプログラムが判定していたのに、本体がその判定を読んでいなかった
- 緊急停止を解除するための機能が、プログラムされているのに一度も呼び出されない状態だった(=いざという時に解除できない)
どれも、お金が絡む場面では笑えない不具合です。その日のうちに3つとも修正し、「二度と同じことが起きないようにするためのテスト」を追加しました。
失敗③:ETF(上場投資信託)が普通株に混ざって最優先候補になっていた
ある銘柄が種類を誤認され、「最優先で買うべき銘柄」のリストに紛れ込んでいたことがありました。これは別のAI(チェック専門に使っているAI)が「これは除外すべき」と警告を出して発覚しました。AIの作業を、別のAIに監査させる——この二段構えが効いた場面です。
失敗④:初期のコードに、パスワードに当たる情報を直接書き込んでいた
これは初心者が本当にやりがちな失敗です。初期に勢いで書いたコードの中に、APIキー(外部サービスを使うためのパスワードのようなもの)を直接書き込んでしまっていました。今はその古いコードごと、共有・公開されない領域に隔離しています。「コードにパスワードを直書きしない」は、これから始める人にも声を大にして伝えたいです。
お金と時間の話:実際いくらかかったのか
気になるコスト面も正直に書きます。
- かかった費用:Claudeの「Proプラン」の月額のみです。Claude Codeを使うには、無料プランではなく有料プランの契約が必要でした(料金は変動する可能性があるので、契約前に必ず公式サイトで最新の金額を確認してください)
- 作業時間:「その日に使える利用枠を使い切るまで」としか言いようがありません。Proプランには一定の利用上限があり、私はだいたいその上限まで作業して、枠が尽きたら終わり、という進め方でした。日によって進む量はバラバラです
高価な専門ツールを買い揃えたわけではない、という点は強調しておきます。月額数千円のAIサブスク1本で、ここまでのものは作れてしまったのです(ただし「作れた」と「安全に運用できる」は別問題、というのが本記事の通奏低音です)。
非エンジニアが「お金が動くもの」をAIで作るときの3原則
最後に、3ヶ月の体験から得た教訓を3つにまとめます。これは記事10で詳しく解説する予定の「CLAUDE.md(AIへの指示ルール)」にもつながる話です。
原則1:「迷ったら止まる」を最優先に設計する
私のシステムには「情報が欠けていたり矛盾していたら、取引しない」という考え方が徹底的に組み込まれています。儲けを増やす機能より、事故を防ぐ仕組みを先に作る。これが鉄則でした。
原則2:AIの作業を、別のAIや記録でチェックする
AIは間違えます。だからこそ、AIの判断を別のAIに監査させたり、すべての動きをログに残したりする仕組みが必要でした。失敗①〜③は、すべてこの「チェックの仕組み」が見つけてくれたものです。
原則3:いきなり本番で動かさない
新しい売買ロジックは、まず「実際には注文せず、もし動いていたらどうなったかを記録するだけ」のモードで試します。実データで安全を確認してから、初めて本番に出す。冒頭で「まだ本格稼働していない」と書いたのは、この原則を守っているからです。
まとめ:AIは魔法じゃないが、素人の射程を確実に伸ばす
コードを1行も書けない人間が、AIと一緒に15万行のシステムを組むことはできました。これは3年前なら考えられなかったことです。
ただし、できあがったものを安全に運用するのは、また別の難しさがあります。私が今も慎重に本番稼働をブロックし続けているのは、そのためです。AIは「素人にできることの範囲」を確実に広げてくれます。でも、最後に「本当に動かしていいか」を判断する責任は、人間の側に残り続けます。
このブログでは、ここで使った具体的なツールの導入方法や、安全に使うための設定を、初心者向けに1つずつ解説していきます。次はまず、私も最初につまずいた「Claude Codeのインストール」から読んでみてください。
次に読む記事
- Claude Codeの使い方【非エンジニア向け・最初の1時間ガイド】
- Claude CodeをWindowsにインストールする全手順【つまずき実録つき】
- CLAUDE.mdの書き方:AIを暴走させない安全設定【テンプレート付き】
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免責事項
本記事は、筆者個人の開発体験を記録・共有することを目的としたものであり、特定の投資手法、金融商品、または自動売買システムの利用を推奨するものではありません。株式投資をはじめとする投資には元本割れのリスクがあり、自動売買システムの利用にはシステムの不具合や予期せぬ損失のリスクが伴います。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。本記事の内容を用いて生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねます。また、本記事に記載のツールの仕様・料金は執筆時点のものであり、最新の情報は各公式サイトをご確認ください。

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