「AIにコードを書かせるのは便利だけど、そのコードが本当に大丈夫か不安」——そう感じたことはありませんか。その不安への一つの答えが、「作るAI」と「チェックするAI」を分けるという方法です。私は実際に、Claude Codeに実装させ、別のAI(Codex)に監査させる仕組みで、お金が関わるシステムを運用しています。この記事では、その考え方を非エンジニア向けに解説します。
⚠️ この記事は2026年6月時点の情報です。お金が関わるシステムを例に出しますが、これは個人の体験談であり、投資や自動売買を推奨するものではありません(詳細は末尾の免責をご覧ください)。考え方自体は、AIを使うあらゆる場面に応用できます。
まず、身近なたとえで
いきなり「AIの監査」と言われてもピンと来ないので、誰でも分かる例で説明します。
あなたがブログ記事をAIに書いてもらう場面を想像してください。もし、書いたAI自身が「これは完璧です、公開していいです」と自己採点して即公開したら——少し不安ですよね。自分で書いて自分で「OK」を出すのは、誤字を見逃すのと同じで、危なっかしい。
そこで、こう分けます。
- 書くAI:依頼どおり記事を書く。でも「公開OK」とは自分で言わない
- チェックするAI:書き上がった記事を読み、「事実は正しいか」「失礼な表現はないか」を確認し、OK / 直して再提出 / 公開ダメで答える。自分では本文を書かない
- 編集長=あなた(人間):チェック結果を見て、最終的に公開ボタンを押すか自分で決める
書いた本人が自己採点して即公開するより、別の目を一度通してから、人が最後に決めるほうが、事故が減る。この「当たり前の段取り」を、AIの開発作業に当てはめたのが、今日紹介する仕組みです。
「作る・見る・決める」を分ける
私のシステムでは、一つの変更を3つの役割に分けています。先ほどのたとえが、そのまま対応します。
| 役割 | 担当 | やること | やらないこと |
|---|---|---|---|
| 実装するAI | Claude Code | 指示を受けて変更を作り、テストし、報告する | 自分の変更を自分で承認しない |
| 監査するAI | Codex(別のAI) | 出来上がった変更を安全の観点でチェックし、合否を出す | 自分ではコードを作らない |
| 最終承認 | 人間(私) | 監査結果を見て、取り込むか最終決定する | — |
ポイントは、「作る人」「見る人」「決める人」を、別々の担当に分けていること。そして、どのAIも本番への取り込みを単独では決められないようにしていることです。
💡 私のシステムには、さらに「門番役」のAIもいます。これは”審判であって選手ではない”存在で、「どの仕事を誰に振るか」「通すか止めるか」「記録するか」だけを担当し、自分では作りもチェックもしません。役割をとことん分けることで、一つのAIに権限が集中しないようにしています。
なぜ分けるのか:「自分の仕事を自分で承認しない」
この仕組みの中心にあるのは、**「no self-approval(ノー・セルフ・アプルーバル)」**という考え方です。直訳すると「自分の仕事を自分で承認しない」。
なぜこれが大事か。作った本人は、自分のミスや思い込みに気づきにくいからです。
人間でも経験があるはずです。自分が書いた文章の誤字には気づかないのに、他人の文章だとすぐ気づく。自分の仕事には「大丈夫だろう」という思い込みが入ってしまう。AIも同じで、自分が作ったものを自分でチェックすると、甘くなりがちです。
だから、変更を作ったのとは別のAIに、まっさらな目で見てもらう。先入観のない第三者がチェックすることで、こういうものを拾いやすくなります。
- 見落とし:作った側が「問題ない」と流してしまった箇所
- 独りよがり:そのAIの発想のクセでできてしまった穴
たとえるなら、書いた人とは別の校正係に原稿を見てもらうこと。自分でゲラを出して自分で「校了」の判を押すのは危ない——出版の世界では当たり前のこの知恵を、AIの運用に持ち込んでいるわけです。
チェックの結果は「信号機」で出る
監査するAIの判定は、おおむね3つの区分で出ます。信号機をイメージすると分かりやすいです。
- 🟢 PASS(問題なし):重大な問題は見つからなかった。進んでよい
- 🟡 HOLD(保留):違反はないが、不足がある(テスト不足など)。足りない分を埋めてから再チェック
- 🔴 BLOCK(却下):安全に関わる問題がある。直すまで取り込み禁止
ここで一番大事なこと——**この判定は、あくまで「参考」**です。AIが🟢PASSと言っても、それだけで自動的に取り込まれることはありません。最後は人間が決めます。
取り込む前の「関所」
本番に関わる変更を取り込む前に、いくつもの条件を全部満たさないと通れない関所を置いています。たとえば、こんな条件です(一部)。
- 触ってはいけない時間帯に作業していないこと
- 記録(ログ)を消したり減らしたりしていないこと
- テストを実行した、またはできない理由を明示していること
- 監査(別AI)のチェックが行われ、結果が記録されていること
- 未解決の重大な問題が残っていないこと
条件が1つでも欠ければ、通さない。しかも「迷ったら止める」を基本にしています。そして関所を全部通っても——最後にハンコを押すのは人間です。AIだけで本番に反映されることは、決してありません。
この仕組みのメリットと、正直な注意点
非エンジニア目線で、良い点と気をつける点を正直にまとめます。
メリット
- チェックの目が二重になる:作る側が見落としても、別の目が拾う確率が上がる
- 暴走しにくい:作ったAIには「自分で承認する」権限がそもそも無いので、独断で進めない
- あとから検証できる:誰が何をどう判定したかが記録に残るので、問題が起きても追跡できる
- 責任の所在が明確:「作る人」「見る人」「決める人」がはっきりする
注意点(ここも正直に)
- ひと手間増える:作る→別AIでチェック→必要なら直す、と工程が増える。スピードより安全を取る選択です
- チェックは万能ではない:自動チェックも巧妙な抜け道までは100%は防げない。だから「AIの監査」と「人間の目」を併用する前提にしています
- 最終責任は人間:AIの判定は参考。鵜呑みにせず、人が決める姿勢を崩さないことが肝心です
非エンジニアでも、この考え方は使える
「自分は複数のAIなんて使わないし」と思うかもしれません。でも、この根っこの考え方は、誰でも今日から使えます。
それは——AIの出した結果を、鵜呑みにしないこと。AIに何かを作らせたり調べさせたりしたら、それを「別の視点で一度チェックする」。チェックするのは、別のAIでも、あなた自身の目でも構いません。大事なのは、**「作った本人(AI)の自己申告だけで、最終決定しない」**という姿勢です。
たとえば、AIに書かせた文章を別のAIに「事実確認して」と頼む。AIが出した計算を、念のため自分で検算する。これも立派な「実装と監査の分離」です。一つのAIを盲信せず、二重のチェックを挟む——この習慣が、AIを安全に使う鍵になります。
まとめ:AIを信頼するために、あえて分ける
- 一つの変更を「作るAI・チェックするAI・決める人間」に分ける
- 中心にあるのは「自分の仕事を自分で承認しない(no self-approval)」
- 監査の判定(🟢🟡🔴)は参考。最終決定は必ず人間
- 取り込む前に、複数条件の「関所」を通す
- 非エンジニアも「AIの結果を鵜呑みにせず、二重チェックする」習慣が応用できる
AIを安全に使うコツは、「AIを信じないこと」ではなく、**「一つのAIに任せきりにしないこと」**です。作る役と見る役を分け、最後は人が決める。この段取りがあれば、AIにもっと安心して仕事を任せられます。
次は、この監査のやり取りが実際にどう行われたか——監査AIが「ここが危ない」と止め、修正して、もう一度見せたら通った、その具体的な記録を紹介する予定です。仕組みだけでなく「実際に効いた瞬間」をお見せします。
<!– 内部リンク:第2期①・記事10・記事8(公開済み)。③は今後 –>
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本記事は執筆時点(2026年6月)の情報に基づく、筆者個人の体験の記録です。記事中の自動売買システムに関する記述は、特定の投資手法や自動売買の利用を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。また、AIツールの仕様は予告なく変更される場合があります。最新情報は各公式ドキュメントをご確認ください。本記事の内容を用いて生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねます。


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